岐阜地方裁判所 昭和42年(わ)113号 判決 1967年10月28日
本店所在地
岐阜県吉城郡古川町向町七三八番地
アルプス薬品工業株式会社
右代表者代表取締役
小倉源蔵
本籍
岐阜県吉城郡古川町大字中気多五四六番地の二
住居
同所同番地
会社役員
小倉源蔵
大正三年四月一九日生
被告事件名
法人税法違反
出席検察官
検事 高木重幸
主文
被告会社を罰金三〇〇万円に、
被告人小倉源蔵を懲役六月及び罰金五〇万円に
各処する。
被告人小倉源蔵が右罰金を完納することができないときは、金二、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
被告人小倉源蔵に対しこの栽判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、岐阜県吉城郡古川町向町七三八番地に本店をおき、医薬品の製造、販売を業とする資本金一、二〇〇万円の株式会社であり、被告人小倉源蔵は、被告会社の代表者で、同会社の業務一切を統轄掌理しているものであるが、被告人小倉は、右会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を簿外にし、或は架空仕入を計上する等の不正な方法により、
第一、昭和三八年四月一日から同三九年三月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が一二、四六六、一五四円であり、これに対する法人税額は四、五五八、四〇〇円であるのにかゝわらず、昭和三九年五月二九日所轄高山税務署長に対し、同事業年度の所得金額が五、二六一、二四〇円にして、これに対する法人税額が一、八三〇、〇八〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度における法人税額二、七二八、二二〇円を免れ、
第二、昭和三九年四月一日から同四〇年三月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が二九、六〇五、七七〇円であり、これに対する法人税額は一〇、九二八、八二〇円であるのにかかわらず、昭和四〇年五月二九日所轄高山税務署長に対し、同事業年度の所得金額が四、一五五、二七二円にして、これに対する法人税額が一、三〇二、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつて被告会社の同事業年度における法人税額九、六二六、八二〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一、登記官作成の登記簿謄本
一、大蔵事務官作成の告発書
一、大蔵事務官作成の証明書(二通)
一、押収してある元帳二冊(昭和四二年押第四八号の12)
一、野道締三の大蔵事務官に対する質問てん末書(41615付、1112付)
一、野道締三の検察官に対する供述調書(六通)
一、樹下国太郎の大蔵事務官に対する質問てん末書(411019付)
一、樹下国太郎の検察官に対する供述調書
一、砂子竜行の検察官に対する供述調書(三通)
一、藤井捷務の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、藤井捷務の検察官に対する供述調書
一、桑島一夫の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、野吾繁夫の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、野吾繁夫作成の上申書
一、佐々木実郎の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、森田季昌の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、河野寿の大蔵事務官に対する質問てん末書(二通)
一、村井昭吉の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、石川沐の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、一宮三郎の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、大内保男の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、住友銀行岐阜支店作成の証明書(四通)
一、十六銀行古川支店長作成の証明書
一、三菱銀行安土町支店長作成の証明書
一、紀陽銀行大阪支店長作成の証明書
一、大蔵事務官作成の調査報告書(411125付)
一、大蔵事務官作成の調査報告書(4392付)
一、被告人小倉源蔵の大蔵事務官に対する質問てん末書(五通)
一、被告人の検察官に対する供述調書(四通)
一、押収してある元帳二冊(前掲)
一、同売上帳(昭和四二年押第四八号の3)
一、同別口仕切復写簿(同5)
一、同売掛帳三冊(同141516)
一、同仕入帳(同17)
一、同生薬工業原料受払帳(二冊)(同1819但し19は真実分
一、同原料合成生薬容器受払帳(同23)
一、同生薬原料受払帳二冊(同2423但し24は虚偽記帳分)
一、同製品在庫帳二冊(同2728)
一、同在庫受払帳(同29)
一、同昭和三九年度製品受払簿(同30)
一、同販売伝票二綴(同3132)
一、同経費明細帳二冊(同3435)
一、同拾参工場設備関係綴(同36)
一、同第八工場、第拾壱工場ルチン設備関係綴(同37)
一、同機械参考綴(同38)
一、同第拾六工場新築関係綴(同39)
一、同第拾五工場新築関係綴(同40)
一、同第七工場塩酸メチルエフエドリン綴(同41)
一、被告人小倉源蔵の当公判廷における供述
(法令の適用)
被告人小倉の判示各所為は、法人税法(昭和四〇年法三四号)附則一九条、同法律による改正前の法人税法(旧法人税法)四八条一項に該当するところ、同被告人は被告会社の代表者として、被告会社の業務に関して右の違反行為をしたのであるから、旧法人税法五一条一項により、被告会社に対し同法四八条一項所定の罰金刑を科すべく、右の罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により、各罪につき定めた罰金の合算額以下において、被告会社を罰金三〇〇万円に処し、被告人小倉については、所定刑中懲役と罰金を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文一〇条により、罰金については同法四八条二項によりそれぞれ法定の加重をした刑期と罰金額の範囲内で、被告人小倉を懲役六月及び罰金五〇万円に処し、刑法一八条により、被告人小倉が右罰金を完納することができないときは金二、〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置し、同法二五条一項により、この栽判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することゝし、主文のとおり判決する。
(裁判官 塩見秀則)